経営全般

テナント賃料の計算方法| 坪単価の算出・適正賃料の逆算・業態別の賃料負担率チェックまで

テナント物件の賃料情報を見ても、「㎡と坪の換算がわからない」「坪単価に共益費が含まれているか不明」「この賃料が自社の売上に対して高いのか安いのかわからない」——こうした悩みを抱える出店担当者は多いです。本記事では、テナント賃料に関する4つの計算を、すべて具体的な計算例付きで解説します。坪単価の基本計算から、自社の売上予測に基づいた「適正賃料の逆算」まで、出店判断に必要な計算方法をこの1記事で身につけてください。

1. 計算①:坪単価の算出方法

テナント賃料の比較は「坪単価」で行うのが業界の標準です。物件情報が㎡表示の場合は、以下の計算式で坪単価に換算します。


基本計算式

坪数 = 面積(㎡)÷ 3.3

坪単価 = 月額賃料 ÷ 坪数


計算例:月額賃料40万円、面積66㎡の物件

坪数:66㎡ ÷ 3.3 = 20坪

坪単価:40万円 ÷ 20坪 = 2万円/坪


⚠ 「坪単価に共益費が含まれているか」を必ず確認する

物件によって、坪単価に共益費が含まれている場合(グロス坪単価)と、別途請求の場合(ネット坪単価)があります。共益費は坪あたり3,000〜8,000円が一般的で、含まれるかどうかで比較結果が大きく変わります。物件同士を比較する際は、必ず「賃料+共益費」のグロス坪単価に揃えてください。さらに、保証金が「賃料の○ヶ月分」と設定されている場合、保証金の算出ベースとなるのは共益費を含まない「ネット賃料」です。グロス坪単価から逆算して保証金を計算すると過大な金額になるので注意してください。

2. 計算②:実質賃料(トータルコスト)の計算

テナント物件のコストは月額賃料だけではありません。共益費、販促費(SC出店の場合)、テナント会費などを加えた「実質賃料」で比較しないと、物件選びを誤ります。


実質賃料の計算式

実質賃料 = 月額賃料 + 共益費 + 販促費 + テナント会費 + その他月額固定費

実質坪単価 = 実質賃料 ÷ 坪数


計算例:路面店A vs SC出店B路面店A(20坪):

賃料30万円+共益費3万円+その他0円 = 実質賃料33万円

実質坪単価:33万円÷20坪 = 16,500円/坪SC出店B(20坪・歩合賃料10%・月商300万円想定):

歩合賃料30万円+共益費4万円+販促費3万円+テナント会費0.5万円 = 実質賃料37.5万円

実質坪単価:37.5万円÷20坪 = 18,750円/坪

→ 賃料だけ見ると同じ30万円だが、実質コストはSCのほうが月4.5万円高い


3. 計算③:売上予測から適正賃料を逆算する

物件の賃料が「高いか安いか」は、周辺相場との比較だけでは判断できません。自社の売上に対してその賃料が適正かどうかを判断する「適正賃料の逆算」が、出店判断で最も重要な計算です。

ステップ1:予測月商を算出する

既存店の坪効率(坪あたりの月商)を使って、出店予定物件での月商を予測します。


月商予測の計算式

予測月商 = 既存店の坪効率 × 出店予定物件の坪数

**例:**既存店の坪効率12万円/坪 × 25坪 = 予測月商 300万円


ステップ2:適正賃料を逆算する

予測月商に、自社の業態の適正賃料負担率を掛けて適正賃料を算出します。


適正賃料の逆算式

適正賃料(月額) = 予測月商 × 適正賃料負担率

**例(飲食店の場合):**300万円 × 10% = **適正賃料 月額30万円以内例(物販店の場合):**300万円 × 15% = 適正賃料 月額45万円以内


ステップ3:物件の賃料と適正賃料を比較する

物件の実質賃料(ステップ2で計算した金額)が、適正賃料を下回っていれば「出店可能」、上回っていれば「賃料交渉が必要」または「出店見送り」と判断します。

4. 計算④:賃料負担率で「高い・安い」を判断する

賃料負担率は「月商に占める賃料の割合」であり、テナント賃料が自社の経営にとって適正かどうかを判断する最も重要な指標です。


賃料負担率の計算式

賃料負担率(%) = 実質賃料 ÷ 月商 × 100


業態適正賃料負担率危険ライン補足
飲食店(レストラン・居酒屋)売上の8〜10%12%超原価率30%+人件費率30%で固定費余力が小さいため、賃料負担は10%以内が理想。
カフェ・軽飲食売上の10〜13%15%超客単価が低く回転率で稼ぐ業態。好立地の集客メリットと賃料のバランスが重要。
アパレル・雑貨(物販)売上の10〜15%18%超粗利率が高い(50〜60%)ため、飲食より賃料負担の許容幅が広い。
美容室・サロン売上の10〜15%18%超人件費率が高い業態。スタッフ数と座席数で売上上限が決まるため、過大な賃料は危険。
クリニック・調剤薬局売上の5〜10%12%超売上規模が大きいが設備投資も高額。賃料は低めに抑えて設備に投資する構造。
事務所売上の5〜8%10%超賃料は経費の一部。売上との直接的な相関は薄いが、固定費管理の観点で重要。

💡 「坪効率」の目安を知っておく

賃料負担率を計算するには月商の予測が必要ですが、出店前に正確な月商を予測するのは難しいです。業態別の坪効率(坪あたりの月商)の目安を参考にしてください。飲食店は月10〜15万円/坪、物販店は月8〜12万円/坪、美容室は月6〜10万円/坪が一般的な目安です。ただし、立地やブランド力によって大きく変動するため、自社の既存店の坪効率を基準にするのが最も正確です。

5. 物件比較に使える計算チェックシート

計算項目計算式物件A物件B
面積(坪)㎡ ÷ 3.3   坪   坪
月額賃料—   万円   万円
坪単価(ネット)賃料 ÷ 坪数   円/坪   円/坪
共益費(月額)—   万円   万円
販促費等(月額)—   万円   万円
実質賃料(月額)賃料+共益費+販促費等   万円   万円
実質坪単価実質賃料 ÷ 坪数   円/坪   円/坪
予測月商坪効率 × 坪数   万円   万円
賃料負担率実質賃料 ÷ 予測月商%%
適正ラインとの比較業態別の適正値と比較適正 / 要交渉 / 見送り適正 / 要交渉 / 見送り

💡 この計算をテナント仲介会社に任せることもできる

上記の計算は出店判断の基本ですが、特に初めての出店では「坪効率の目安がわからない」「SC出店の場合の販促費が読めない」など、自社だけでは正確な計算が難しい場合があります。テナント仲介会社は同業態・同エリアの実績データを持っており、より精度の高い計算をサポートできます。クラスラ不動産は「テナントの窓口」フランチャイズとして全国30拠点超の賃料データを保有しており、御社の出店計画に合わせた賃料の適正診断を無料で行っています。

6. まとめ|賃料は「計算して比較する」ものである

テナント賃料の判断は「なんとなく高い・安い」ではなく、計算に基づいて行うものです。坪単価の算出→実質賃料の計算→売上予測からの適正賃料の逆算→賃料負担率のチェック——この4ステップを物件ごとに実行することで、「この物件は自社にとって適正か」を客観的に判断できます。

物件比較の計算に不安がある場合や、業態別の坪効率の目安が知りたい場合は、テナント仲介のプロにご相談ください。

この記事の監修者

宮﨑 俊太(宅建士)

宮﨑 俊太(宅建士)

医療・看護施設の開業支援業を経て、2025年に宅地建物取引士を取得しクラスラ不動産を開業。
全国30拠点超のネットワーク「テナントの窓口」フランチャイズ加盟。全国チェーンのリーシングから、地場企業の多店舗展開まで、テナント出店に特化したご支援を行っています。
(株式会社CAMPWILL 代表取締役)

出店・テナント物件について相談する(無料)

LINEで手軽に
質問相談できます
LINE

お問い合わせ